しのだ内科クリニック
豊田市にて内科・消化器内科を診療する「しのだ内科クリニック」についてご案内します。

発癌リスクを見直そう

癌は遺伝的因子、環境因子など複合的要因により発生しますが、発がんリスク因子には、食事、喫煙・放射線、有毒ガス、感染症、ストレスなどがあげられます。ハーバード大学の研究調査には、アメリカ人のがん死亡の原因は、30%が食事、30%が喫煙、5%が運動不足、3%がアルコール、との報告もあり、生活環境を見直すだけで68%の癌が予防できるとしています。一方、発がんに抑制的に働く因子としては、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノール、カテキン、緑黄色野菜などがあげられます。

がんにならないために、まずできることは禁煙です。喫煙による内部被爆は、いろいろな臓器で発がんのリスクを高めます。食事はバランス良く適切に摂取し、高脂肪食の摂取や肥満を避け、適量のビタミンと食物繊維を緑黄色野菜からとりましょう。塩辛いもの、熱いもの、焦げたもの、アルコール等は控えめにしましょう。適度の運動も効果的です。

胃がんについて

日本は世界的に見て非常に胃がんが多く発生する国ですが、ピロリ菌感染率が高いこと、塩分摂取量の多いことが胃がんのリスク要因とされています。高塩分の食品(漬物、みそ汁、魚の干物など)を多く摂取する秋田県、山形県、新潟県などの胃がん発生率は、塩分摂取量の少ない九州・沖縄と比べると、約3倍です。

予防では、喫煙者は、まず禁煙しましょう。食事は高塩分の食品を控え、減塩を心がけましょう。野菜や果物の摂取が、胃がんリスクを下げるとされています。また、ピロリ菌持続感染による萎縮性胃炎は、胃癌発癌に深く関わると考えられます。私の名古屋大学での研究課題のひとつは、ピロリ菌の除菌治療と萎縮性胃炎との関係でした。当時、95%近い除菌成功率を得ていましたが、詳細な研究の結果わかった重要なことは、除菌治療に成功すると、萎縮性胃炎が改善することです(個人差があります)。萎縮性胃炎の改善が著しい方は、胃がんの発癌リスクが低下すると考えられます。ピロリ菌陽性の萎縮性胃炎では、放置しないで除菌治療を受けられることを推奨します。

大腸がんについて

近年、男女ともに増加の傾向であり、とくに女性では、がん死亡の原因第1位です。
大腸がんのリスク要因には、食生活の欧米化(牛・豚など赤肉、動物性脂肪の摂取)、飲酒・喫煙、肥満(高インスリン血症)、便秘などがあげられます。

予防は、肉食(牛・豚)・高脂肪食など、食生活に注意し、緑黄色野菜の摂取を心がけましょう。また、適度の運動が便通の促進にもなり、大腸がんのリスクを下げるとされます。

大腸がん死亡率は、年々増加していますが、大腸がんは早期発見による治癒率が高く、便潜血検査を中心とした大腸がん検診を受けることで死亡率が低下することが示されています。40歳を過ぎたら大腸がん検診を年1回受けることが勧められます。

肝がんについて

肝がんの約9割を占める肝細胞がんの最も重要な要因は、肝炎ウイルスの持続感染です。肝細胞がんでは、70~80%はC型肝炎、10~20%がB型肝炎、約10%が脂肪肝炎とされています。C型肝炎にはDAA(直接作用型抗ウイルス薬)、B型肝炎にはNA(核酸アナログ製剤)、脂肪肝炎には生活習慣の改善が有効です。近年、生活習慣病に伴う脂肪肝炎からの肝がんが増加しており、生活習慣を見直し、慢性肝炎を放置しないことが重要です。

予防では、まず肝炎ウイルス感染の有無を知ることです。そして感染が確認された場合には肝臓の専門医を受診して、相談することが重要です。現在多くの自治体で肝炎無料検査を行っていますので、40歳以上の人は、自覚症状がなくても一度は肝炎ウイルスの検査を受けてください。肝炎ウイルス感染が判明した場合には専門医に相談し、治療とともに定期的な血液検査、画像検査を受けましょう。また、禁煙と節酒を心掛けることが重要です。肥満防止、適度の運動、血糖コントロールも有効だと考えられます。

肺がんについて

日本人がん死亡の原因第1位は、肺がんです。肺がんの第一のリスク要因は、喫煙習慣です。たばこの煙には多数の発がん物質が含まれており、喫煙による内部被爆も指摘されています。欧米では、喫煙者の肺がんリスクは、非喫煙者の20倍以上とされていますが、日本人を対象とした研究(2008年)では、喫煙者の肺がんリスクは男性で4.8倍、女性で3.9倍という結果でした。また、欧米では、たばこが肺がんの発生原因の90%とされていますが、日本では男性で69%、女性では20%程度と推計されています。その他、飲料水中のヒ素は確実なリスク要因です。アスベスト、シリカ、クロム、コールタール、放射線、ディーゼル排ガスなどへの曝露(ばくろ)も、肺がんのリスク要因とされています。

肺がんの最大の予防は、たばこを吸わないことです。たばこの発がん物質は、血液に乗ってさまざまな臓器に影響を与えるため、禁煙することによって肺だけでなくさまざまな部位に発生するがんのリスクを下げることができます。また、受動喫煙は肺に対しての発癌性があることが確実とされています。たばこを吸わない人は、できるだけたばこの煙を避けましょう。果物やカロテノイドを含む食品の摂取は、発癌抑制効果があるとされます。